シャフト豆知識


第21話 スチールシャフトの素材(1)

スチールシャフトに使用されている金属材料は、パイプ状で、テーパー状に加工することが容易であることと、比強度・比弾性が高いことが条件となっている。この条件に合う鉄鋼材料には次のようなものがある。どちらも単独ではなく、複数の金属元素による合金として使われる。

●炭素鋼……Fe、Cの合金
●特殊鋼……Fe、C、Mn、Cr、Ni、 Mo、V等の合金

さて、鋼(ハガネ)は鉄(Fe)に少量(1.7%以下)の炭素(C)を含有した合金で、通常「炭素鋼」または「普通鋼」と呼ばれている。
また、炭素の他に、クローム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)等の金属元素を、単独あるいは複数添加した合金を「特殊鋼」という。ステンレス鋼も特殊鋼の一種であり、これらの材料を使用したシャフトをスチールシャフトと呼ぶ。


第22話 スチールシャフトの素材(2)

炭素鋼は、C(炭素)の含有量が多くなるほど、引張強さは強くなるが、靱性が低くなる傾向にある。特殊鋼はこの傾向を緩和する目的で、各元素を添加してすこしでも比強度・比弾性を上げようとしている訳だ。
鋼は、熱処理をすることによって、軟らかくなったり、硬くなったりもする性質がある。この性質を利用して、軟らかい状態でテーパー加工等をして、シャフトの形状を作り、その後で硬くする熱処理によって強度を出すことができる。
また、鋼材は建築やプラント機器、自動車等の耐久消費材にごく一般に使用されているため、材料コストは炭素繊維等とは比較にならないほど、安価だ。
しかも、製造設備は機械化・省力化によって、品質の安定が得られ、バラツキのない高性能なシャフトが作れることが、最大の利点と言える。


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